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コラムvol. 5 和菓子屋に、和菓子職人に「包あん機」を認めてもらうために虎彦がとった奇策とは?

饅頭を機械でつくる「包あん機」。今でこそ全国各地で活躍していますが、実は、その存在を和菓子屋や和菓子職人に認めてもらうことは容易ではありませんでした。

 

「菓子は手仕事の産物である」- 手仕事でこそ本当においしい饅頭ができる、いや、手仕事でなければおいしい饅頭などできない、というのが和菓子屋の常識でしたから。

 

もちろん、この考えは和菓子職人だった虎彦自身がもっとも痛感してきた事実です。職人の技術やセンス、創意工夫こそが菓子に命を吹き込むということが分かっていました。にもかかわらず、あんこを生地で包むという単純作業にばかり時間をとられる状況が当時の和菓子屋にはありました。「この問題を根底から解決するには、饅頭を機械でこしらえることが必要だと思い至ったのです」(書籍「すっぴん」81ページ)。

 

10年の歳月をかけて苦心の末に生まれた「包あん機」。頑固な和菓子職人たちに認めてもらうために、虎彦は数々の奇策を実践していきました。

 

菓子のための博覧会に「機械」を出展

 

虎彦は、包あん機を「全国菓子大博覧会」に出展することに。全国の和菓子をはじめ洋菓子やスナック菓子などを集めた日本最大のお菓子の展示会であり、お菓子のオリンピックとも呼ばれる由緒正しき博覧会です。

 

 

その名の通り出展されるのはお菓子です。全国各地の和菓子店や大手菓子メーカーが自慢の菓子を持ち込み、競い合うのですが、そんなお菓子の祭典に虎彦は「機械」を出展したのです。過去に機械の出展などありませんでした。来場者はみな「どうして機械がここにあるんだ?」と不思議な顔をしていたといいます。

 

しかし、虎彦の奇策は功を奏します。機械から饅頭が生み出される様子に、来場した菓子職人たちは足を止めて魅入ることになったのです。「包む」ことの難しさを知っている和菓子職人は、機械から次々と美しい饅頭が生まれてきたことに衝撃を受けたに違いありません。

 

全国菓子大博覧会というからには多くの菓子職人が集まります。そこで包あん機を実際に見て、体験してもらうこと、それこそが虎彦の真の狙いでした。包あん機の存在を広く知らしめることに成功したのです。

 

名人級の和菓子職人を講師に招く

 

饅頭をつくる機械を製作するには、饅頭のことを知らなければならない ― レオン自動機では饅頭づくりを社員に学んでもらうために和菓子職人を招いて講習を行いました。招聘したのは名人級の職人ばかり。手仕事の繊細さや難しさ、苦労、そしてそこから生まれる味や香り、食感、情緒といったことを社員に指南してもらったのです。

 

しかし、そこには虎彦のもう一つの目的がありました。それは菓子職人に「包あん機」を使ってもらうこと。

 

もともと菓子職人は機械を毛嫌いする傾向にありました。仮に包あん機の評判を聞いて知っていてもなかなか手を出そうとしません。そこで饅頭づくりの講師として招くことで、逆に、機械を知ってもらおうとしたのです。

 

こちらも大成功。口づてに包あん機の評判は広がり、菓子職人の間に機械に対する新しい認識をもたらすことになりました。

 

著名人を起用したテレビコマーシャル!

 

包あん機の存在を広めるために、菓子づくりに携わる人だけでなく、一般の消費者にもレオン自動機のことを知ってもらうことが必要だと考えました。

 

そこで虎彦がとった行動は「テレビCMをうつ」こと。カラーテレビが普及し、NHKの連続テレビ小説第6作の「おはなはん」や円谷プロ製作の特撮ドラマ「ウルトラマン」が放送された昭和41(1966)年、105型が発売されたときのことです。CMには虎彦が自ら出演。さらにビートルズの日本講演の司会を務めたE.H.エリック氏を起用して、その存在をアピールしたのです。

 

 

また後の昭和53(1978)年、日本テレビで放送していた「ほんものは誰だ!」という人気番組に虎彦は出演。番組ディレクターが取材先の和菓子店でレオン自動機の機械に一目惚れをしたことから出演を依頼されたといいます。スタジオに登場する3名の中からある特技をもった「ほんもの」を一人だけ選び出すというクイズ番組で「和菓子をワンタッチで製造してしまう驚異の機械を発明した元和菓子職人は誰だ!」という内容でした。

 

 

虎彦という人物自身が包あん機普及の立役者になったことは言うまでもありません。

 

お洒落なラッピングカーで全国行脚

 

虎彦はまた宣伝の一環としてオリジナルのラッピングカーを用意。虎彦のセンスが光る青と白の2色で配されたお洒落なサービスカーに105型を乗せて、キャラバンと称して全国各地を行脚します。宇都宮まで足を運んでもらわなくても、各地の公民館などで実演会を行い、多くの方に包あん機を試してもらえるようにしたのです。

 

 

ときに大胆に、またときには地道な活動によって大きな和菓子屋から、小さな和菓子店にまで次第に包あん機の存在は知られることに。こうして少しずつ日本中の和菓子屋に、和菓子職人に認められるようになっていったのです。



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